山崎浩の本と紙の厚さ

山崎浩

通常紙の厚さを意識する機会があるとすれば、マンガを描くときの上質紙の厚さがコピー用紙よりだいぶあるということぐらいでしょうか。
商業誌のコミックだと嵩があったほうが一見お得そうなので厚めの紙を使ったり、逆にコミックマーケットのカタログだとぎりぎりまで紙を薄くしてカタログの厚さを押さえたりします。
トレペや上質紙など紙の厚さが上がるほどコストが変わるのですが、紙の価格は種類によって違うので、用紙の種類が違う場合厚いほうが高いと限りません。
雑誌に使われているザラ紙が意外にコストがかかると聞いたことがります。
個人的には新書判のコミックに使用されている用紙はあまり好きではありませんが、コミック紙は好きですね。
現在使用している金沢印刷さんだとセット料金の範囲で使用する用紙がいくつか選べます。
オールカラーだと、アートコートを使った『どきどき3』を除けばマットコート。『たからもの』以降の厚手のモノクロ本はコミック紙。
コピー誌だと誤解されがちな『神話』はオフセットで用紙が薄手のアートコート。
『少年の時間』が上質紙。上質紙だとコミック紙よりは若干薄手になります。

保管スペースを考えると上質紙がいいのですが、見た目とめくりやすさの両面でコミック紙で制作することが多いわけです。
一方、昔お願いしていた印刷所で使用していた同人誌印刷所数社で開発したという低コストの用紙は薄いのですが紙のこしが弱い上に経年劣化が激しく、ちょっと悔やんでいます。
厚さの変化は表紙のデザインの際の背幅に関係してくるのですが、薄い本にはほとんど背に文字を入れないのであまり意識しません。
ところが意外なことから背幅を意識する機会がありました。
通販の発送には以前はエクスパックだったり、かなり頑丈な梱包だったり、250円の宅配だったりしたのですが、諸事情で最近はヤマトのメール便を使っています。
それなりに格安で気に入っていましたが、いつの間にか料金体系が重さからサイズに移行していました。
A4サイズで厚さ1センチまで80円、2センチまでで160円とものによって半額以下になるほど、郵便局の冊子小包と比べても圧倒的安さ。
たとえばオールカラーなら5冊で80円で送れるわけです。
通販の読者にお願いしていた負担が少し軽くなるのでうれしいですね。
『神話』=0.4mm 『どきどき1-2』『猫1-2』=6mm の2種を除けば2mmということで、送料の計算も背幅の合計でやればいいのでむちゃくちゃ簡単になりました。
軽くて大きいものを送っていたユーザーにとっては負担ですが、われわれ本を作る側にとっては助かるプレゼントです。

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